
独立して事業を開業するにあたり、資金の事は大きな、そして重要な課題になります。
ここでは、資金はどう調達するべきなのか、そして開業のための資金はいくら調達すれば良いのか、その考え方を解説してみたいと思います。
独立開業資金の調達方法
独立開業のための資金の調達方法としては、いくつかの方法が考えられます。
主には以下のような方法が挙げられます。
1;自分でコツコツ貯める
2;人に贈与してもらう
3;人に融資してもらう
4;金融機関に融資してもらう
5;宝くじに当たる
ちなみに、私が独立する時には、開業資金は1;の自己資金と4;の金融機関からの融資でまかないました。
独立開業の資金調達としては、一番オーソドックスな形かと思います。
一番オーソドックスですが、私の経験上、先々を考えると自己資金と金融機関の融資で調達するのが一番お勧めの方法でもあります。
その理由は、少し長くなりますのでここでは割愛します。
こちらにまとめていますので、よろしければご覧下さい
人に頼って開業資金を調達するのは得策ではない?

2;と3;の人から贈与または融資してもらう方法ですが、これはあくまでも私の個人的な考えですが、あまりお勧めはできません。
ここで言う「人」とは、主に家族、親戚、知人と言う事になろうかと思います。
私の場合、独立する時にはすでに父親は亡くなっていました。
だから、独立開業へ向けて最も頼りになるべき存在が、すでにこの世にいませんでした。
ちなみに、実は一度目の起業の時には父親の力を借りました。
結果失敗しましたが、借金は全額返済しました。
でも、もし今回父親が存命だったとしても、おそらく頼らなかったと思います。
父親以外には、母親、姉、親戚一同、義父母、親友等々、私を大切に思ってくれているであろう人は何人かいました。
でも、頼りませんでした。
と言うか、頼れませんでした。
お金の事です。
すごく頼みづらいです。
これは私が失敗経験者だからでしょう。
実際に独立して開業すると、事業が順調に軌道に乗る可能性は低いと考えておいた方が良いです。
借りたお金を返すのがしんどい時もあるでしょう。
その時、返す相手が金融機関だった場合、何が何でも返さなければいけません。
これがもし、返す相手が近しい人だったりしたら、甘えが出るかも知れません。
そうすると何が起こると予測できるでしょうか。
まず一つ目に、何が何でも返す意識が低いですから、返済が滞る事があるかも知れません。
自分の事を思って力を貸してくれた方なのに、その方とトラブルになってしまい、最悪疎遠になる可能性だってあります。
そして二つ目。
私の場合は、借金を返す相手が金融機関だったので、どんなにしんどくても返すしかありませんでした。
今となって思うのは、そのつらい時期を乗り切ったからこそ、今があるのだと思います。
逆にあの時期がなければ、生き残るための必死さが薄れていたかも知れません。今、私の会社はなかった可能性が高いです。
あぶく銭を開業資金にするべきではない

5;の「宝くじに当たる」についてですが、これ、何となく思い付きで挙げてみました。
だけど真面目な話をすると、これに近い話も含めて、本当にやめた方が良いと思います。
人からもらったお金や相続したお金を含めて、やはり、独立の目的を持って貯めたお金と、自分の意志とは関係なく手に入れたお金では、その重みが全然違うからです。
先ほどお話しした、独立に対する必死さと言う事とも通じますが、あぶく銭で始めた商売は、真剣さも薄れてしまうと思います。
やはり、何が何でも借金を返さなければいけない状況と言うのは、自分を追い込み、良い結果が生まれるきっかけになり得ると思います。
独立開業のための資金はいくら用意すれば良いのか
次に独立開業へ向けて、開業資金はいくら調達すれば良いのかと言うお話しですが、当たり前ですが、これは開業する事業の内容や規模によって全然違います。
でも、何の業種で独立するにしても、どんな規模で開業するにしても、資金調達の考え方としては共通する事があります。
それは、最悪の事が起こっても1年程度は絶対に潰れない金額を調達するべき、と言う事です。
見た事ありませんか?
オープンして1年も持たずに閉店してしまったお店。
私の近所では最近、あるお店が1年足らずで閉店してしまいました。
それほど小さい規模ではないお店です。
その後聞いたところによると、私の友達の知り合いの方のお店だったらしいです。
まあ、俗に言う赤の他人ですね。
私は飲食店に関わる仕事をしていますが、飲食店でもたまにあるパターンです。
そう言うのを見るたび「ああ、やっちゃった」と思うわけです。
例えば飲食店を始めようとした場合、こんな費用がかかるとします。
物件契約費・・・100万円
内装費・・・200万円
設備費・・・100万円
什器類・・・200万円
食器・道具類・・・50万円
備品・雑費・・・50万円
合計 700万円
この場合、いくらの資金を調達すれば良いでしょう。
極端な話、このお店を700万円の資金とか、それに近いような金額だけで始めちゃうような方が多いのではないかと思います。
例えば開業前の時点で、上記の費用の他に、
・内装工事をしている間の家賃
・オペレーション教育をする間の従業員の給与
・メニュー試作のための食材費
・それらオープン前の活動にかかる水道光熱費
・オープンへ向けた食材の在庫分の仕入
等々、細かい費用がかさんで、合計すると決して軽視できない金額になったりします。
そう言ったものや、開業後の費用をできるだけ正確に算出して、開業してから1年くらいは潰れない資金を調達するべきです。
そのために、こんな表を作ってみましょう。

この例は、900万円の資金を融資で調達、開業費670万円、月間売上目標の225万円を6か月後に達成、と言う条件で作った資金計画表です。
適当に作りました。
一見ごちゃごちゃして分かりづらそうですが、よくよく見ると理解していただけると思います。
このような計画の数字と、例えば上手く行かなくて6か月後には180万円の売上しか作れなかったパターン等、最悪の事も想定した表も作ってみます。
そうすると、その場合にはいつ資金がショートするのか、どの費用をいくら削れば資金ショートを回避できるか、検討する事ができます。
こんな事を計算しながら、独立開業後1年間は生き残れる資金計画を立ててみましょう。
よく言われるのが、6か月間売上0でも生き残れる資金を用意しましょう、なんて言われますけど、私はその感覚がよく理解できていません。
それはこちらの記事でもお話ししています。
資金計画表を作って、最悪の場合でも資金が回るように用意しておく。
その方がずっと現実的ではないかと思っています。