
先日、信金の担当者の方が来社されました。
コロナ貸付の件と、私の新事業の件です。
そこでのやり取りで見えた、金融機関の裏話・・・と言うほどのものでもありませんが、
普通の人は知らない、金融機関の事情について、今日はお話ししてみたいと思います。
コロナ貸付MAX金額を勧められる
コロナ貸付については、融資条件を色々調べてはいましたが、一応確認してみました。
私:
金利と返済期間はどんな感じですか?
信:
金利は3年間無利子で、3年以降は、返済期間が5年未満の場合は1.0%、5年以上だと1.2%です。
返済期間は最長で10年間です。
私:
金額はどうなりますか?
信:
それを今日ご相談したかったんですけど、ご希望額はいくらですか?
私:
公庫から借りた分もあるし、500万もあれば、仮に売上が0になっても1~2年は潰れないと思うので、それくらいかなぁ・・・
信:
ちなみに、御社の状況ですと、1,000万までは行けると思いますけど、どうですか?
私:
あ・・・そうですか・・・じゃあ1000万を10年で・・・
金融機関にとってもおいしい話
この時、なるほどと理解しました。
今回のコロナ貸付は、3年間無利子です。
3年後に残額を全額返済すれば、負担なしで、安心感だけを手にする事ができます。
だけどそれは借り手側だけの話。
貸す側はそうではありません。
もし貸し倒れが発生した場合、国が補填してくれるわけではありません。
金融機関が全額かぶる事になります。
でも、3年間の利子は、金融機関が負担するわけではなく、国が補填してくれます。
つまり、貸した先が潰れさえしなければ、金融機関は利益を得る事ができます。
そして、この緊急事態ですから、お金を借りたい事業者はたくさんいるわけです。
その中には、自分で言うのもアレですけど、私のように、本当はお金を借りなくても潰れはしないけど、一応借りておこうと言う事業者も、かなりの数含まれているはずです。
だって金利タダだから。
本来融資を必要としていなかった、比較的貸し倒れリスクの低い事業者が、ここぞとばかりに融資を申し込んで来る。
そして金融機関の立場としては、しっかり金利分が儲かる。
これは営業担当や支店としてはおいしい話ですよね。
貸せるだけ貸したい、借りられるだけ借りさせたいと考えるはずです。
これは、起業時に受けた、自治体の新創業融資制度の仕組みとよく似ています。
あの時も同じように感じました。
この自治体の制度融資とは、自治体の推薦を受けた人が、金融機関から創業の資金を借り入れる制度です。
保証協会が保証を請けてくれます。
普段の融資と比べると、保証協会の審査は大甘だそうです。
金融機関にとっては、まったくのノーリスクです。
思えばあの時も、私が借り入れた金額は、当初希望したよりもはるかに多い額でした。
今回とは違い、低いとは言え金利がかかりましたが、安心料と今後の信用料と思えば、安いものかなと思い、勧められた金額を借りました。
結果的に、その金額を借りなければ潰れていましたので、当時の信金担当者の方には、本当に感謝しています。
新事業に対する融資の相談をした所・・・

その後、私としては超本題の、新しいビジネスの融資について相談しました。
先日の電話では、コロナ貸付とは別個の話になるので、前向きに相談に乗れるようなニュアンスでした。
私はこの事業を、会社の新事業ではなく、個人として開業しようと考えています。
その目的はまた後ほどと言う事で。
そして、開業時期は、今すぐにでも取り掛かりたいと思っています。
その2点を伝えたところ、何となく予想はしていましたが、担当者の顔色がやや変わりました。
信:
そう言う事だと、ちょっと話が変わるかも知れません。
私:
やっぱり?
信:
まず1点ですが、会社とは別事業となると、まったくの新創業扱いになります。
今、創業の融資がすごく渋くなっています。
公庫でも審査がほぼ止まっているような状況です。
それともう1点ですが、コロナで融資を受けてからすぐとなると、今困ってるから借りたのになんで?って事になるかも知れません。
やっぱりか・・・
ちょっと暗雲が立ち込めて来たかなと思ったその時でした。
裏技を提案される
どんなビジネスを計画しているのかなぜそれをやろうと思ったのか収支をどう計画しているのか
ざっくりですが、そんな事を話した所、担当者からこんな話をされました。
信:
確かに、今こんな時だからこそ、リスクもありますがチャンスでもありますよね。
どれくらいの資金が必要なんですか?
私:
借りるのは、あと300万もあれば、自分のお金と合わせて開業できる予定です。
信:
それであれば、一つの方法論なんですけどね。
例えば今回、1000万を10年で借り入れますよね?
それの一部を、おかもとさん個人に貸し付ける形にして、それを資金に開業しちゃう手もあります。
私:
そんな事しちゃって良いものなんですか?
信:
ここだけの話です。
それに近いような事をしてる社長って、結構いるんですよ。
私:
でも確か、会社から代表者個人に貸付があるのって、銀行からの評価的にはマイナスになるんじゃなかったですか?
信:
そうなんです。
だから、例えば8月とかに開業したら、それから何ヶ月後か、落ち着いた頃に創業融資として申し込むんです。
次の決算前なら、決算書には貸付金として計上されてはいません。
会社の業績も元に戻っていれば、今とは状況が違いますから通る可能性も高いです。
私:
もし、その時もまだ売上が落ちてたりしたら?
信:
また方法を考えましょう(笑)
いずれにしても、計画が固まったらご連絡ください。
まず申し込んでみましょう。
金融機関の人とは仲良く
この人、こんな話して大丈夫なのかな?と思いながらも、道筋が見えてきました。
私が提案された通りに実際にするかどうかは別として、こう言う事って、普段はなかなか聞けないと思います。
金融機関の人と信頼関係を作っておく事は、すごく大切な事なんだと、改めて思いました。
この翌日、担当者の方は、申請書(まだ申込書ではない)を持ってきてくれました。
私は不在だったので、妻に押印しておいてもらいました。
「申請だけはすぐにしておきたいので」と言う事でした。
とても仕事の早い方です。
彼が担当になって、1年くらいになると思います。
金融機関の担当者は、癒着防止等の理由で、だいたい2年で異動になるらしいです。
残り1年くらい、きっと彼にはお世話になると思います。
事業を経営するなら、金融機関の方とは、本当に仲良くしておいた方が良いですね。
※私が新事業を会社の事業展開ではなく、個人で新規に開業しようとする理由は、こちらをご覧ください。